勝敗を分ける2%:Tripoがエンジニアリング提案を可視化するまで

Quanは、プレゼンテーションの台本に上司が残したコメントを見つめた。「ここは省こう。テキストだけで十分だ」。彼はその指示を削除した。
Quanは、ポストテンション構造物を手がけるエンジニアリング企業でデジタルオートメーションを率いている。橋梁、スタジアム、原子力発電所。この業界では、契約を勝ち取れるかどうかが、たった1つの3Dビジュアライゼーションで決まることがある。
画面上で、メンテナンス工程のすべてをクライアントに見せる。所定の位置についたクレーンも、ケーブル上のロボットも、すべてだ。1つでも欠ければ、信頼は揺らぐ。
上司が省こうとした箇所は、15分のプレゼンテーションのうち約20秒。画面時間の2%にも満たない。しかし同時に、それは「実行できます」と「実際にこう実行します」を分ける2%でもあった。
「気になって仕方がない」
Quanは、競合他社がどう対応しているかを調べた。どの会社も補助機材を省いていた。ブームトラックも、ケーブル検査ロボットも、テキストで1行触れて次へ進む。それで十分だというのが業界の共通認識だった。しかし、Quanには受け入れられなかった。
「本当に気になって仕方がないんです」と彼は言う。「もっと良く、もっとクリエイティブに。その思いをいつも忘れないようにしています」
そこで彼は、建設現場のカメラマンに実際の作業を撮影してもらった。橋面上で展開するブームトラック。ステイケーブルを進むロボット。実写映像をバーチャルシミュレーションの設計図にしたのだ。


「もっと良く、もっとクリエイティブに」
参考資料はそろった。しかし、モデルは存在しなかった。レンタル会社が提供しているのは2D CAD図面だけ。ロボットのサプライヤーが共有しているのも技術仕様のみだった。モデルも、カタログ用レンダリングもなく、どこを探してもダウンロードできるものはなかった。
Blenderでゼロから制作すれば、1つのオブジェクトにつき2〜3日。画面に映るのはわずか数秒にすぎず、どう計算しても割に合わない。
Quanは、現場写真とGeminiで生成した参考画像をTripoに入力した。出来上がったブームトラックは、各機械部品が個別に分かれた状態で、すぐにアニメーション用のリギングに使えた。
ロボットの方は難しかった。1枚で十分な参考画像がなかったため、研究論文やサプライヤーの動画を探し続け、ようやく実用的な形状を生成できる組み合わせを見つけた。


参考資料からレンダリングへ
どちらのモデルもRhino 3Dでジオメトリを整えた後、Unreal Engine 5でアニメーション化した。テクスチャもTripoで生成した。手作業なら、Quanは各コンポーネントを色ごとに分け、1つずつマテリアルを割り当てる必要があった。補助的なオブジェクトに対しては、とても正当化できない作業量だ。
以前なら1つにつき2〜3日かかっていた2つのオブジェクトが、それぞれ午後の半日で完成した。約5日分の作業を削減したことになる。ブームトラックは実写映像どおりに展開し、ロボットは正しい角度と速度でケーブル上を進む。
すべてを変える2%
完成版を見た上司と支店長は、「大満足」だった。誰もが省くことに同意していたセクションが、人々の目を止める場面になった。
クライアントが2つの提案を比較するとする。片方は「ブームトラックを配置します」と書かれたテキストスライド。もう片方は、具体的な作業方法まで示すアニメーション。その差は明白だ。この2%がもたらすのは、画面時間ではない。信頼である。
すべてを見せるためのコストが数日から数時間に縮まれば、信頼できるエンジニアリングプレゼンテーションの基準は根本から変わる。クライアントの評価軸も変わり、テキストスライドは目に見える弱点になる。省くことを拒んだ1人の姿勢と、それを可能にする制作パイプラインが、業界全体の最低基準を引き上げる。
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